2 妊娠中の循環動態評価
妊娠・出産に伴う循環動態の変化に対して,母体心臓の適応の可否を見極めるために,妊娠産褥を通じ,複数回にわたる循環動態評価を行うことが望ましい.
①心エコー検査
妊娠中の循環動態を評価する上で,非侵襲的かつ情報量の多い心エコー検査は有用である473).
②心臓MRI 検査
放射線被ばくがないという点で,妊娠中の心臓MRI検査は安全度が高い.右心系の評価や,複雑先天性心疾患・術後では,心エコー検査による評価が十分でないことがあり,この場合には,MRI は有用である.胎児への危険性ついては明らかでないため,診療上必要な場合にのみ施行することが望ましい474).
③心臓カテーテル検査,心臓CT 検査
放射線被ばくの観点から,診療上施行することが有益と判断した場合にのみ施行する.腹部への放射線照射をできる限り減らすために,腹部遮蔽や,カテーテルアプローチを大腿動脈ではなく,橈骨動脈にする等の工夫が必要である.
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)