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 循環器小児科から成人先天性心疾患外来への移行期間中もしくはそれ以前に,病名の告知,過去の治療歴,現在の心血管系の病状,今後起こり
得る問題とその対策,日常生活での注意事項,成人病予防対策等を,本人に時間をかけて十分に説明する必要がある4),659).クラブ活動が始まる中
学入学時(12歳頃)には本人にある程度の病名告知と病状説明を行い,運動が心臓に与える影響や日常生活での注意点等を説明開始する.成人先
天性心疾患には,染色体異常や知的障害を伴う患者が存在する657).病気の理解度に問題のある患者でも,遅くとも高校卒業時(18歳頃)までには病
名を告知し,自分の病気を知らずに社会に出ることのないようにすることが望ましい.病気の告知と病状説明が行われないと,親から離れて社会に出た
際に,通院が途絶えてしまい,病状の悪化や突然死等に陥る可能性もある.患者本人への病気の告知は,患者本人が親から独立して自分の身体の
現状を把握し,自分の将来に対して責任を持つという観点から,患者の身体的および知的状況に応じた時期に行うべき重要な診療行為である.
3 告知時期
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)