①胸部X 線
心胸郭比は正常例から,著明に拡大している例まで多様である.肺血管陰影は減少している場合がある.大血管陰影は小さく,右房拡大が著明である.
②心電図
右房性P波(Himalayan P waves),PQ時間延長,右脚ブロック,QRS時間延長,B型WPW(右側副伝導路)が認められる.副伝導路合併例ではPQ時間
は短縮する.Ⅱ,Ⅲ,aVf,V1-4,に深いQ波を認める.上室性頻脈,心房細動,心房粗動を認める場合がある.
③心エコー法
本症の診断は経胸壁心エコー法で最も確実に行われる.中隔尖,後尖は右室内心尖部方向に偏位(8mm/m2以上)しており,可動性不良である.前尖は
大きく(sail-like)可動性は良好である.心室中隔の左方偏位を認め,左室はバナナ状に変形している.右心系の拡大,三尖弁閉鎖不全を認める.チアノーゼ
合併例では卵円孔欠損あるいは心房中隔欠損での右−左短絡を認める.左心機能の評価,三尖弁以外の弁の評価も必要である773).
④心臓カテーテル検査・MRI
左心機能の判定のために有用である.また,副伝導路合併例では,カテーテルアブーションを目的とする場合がある.