(1) 以下の症例に対して三尖弁形成術あるいは三尖弁置換術と心房中隔欠損閉鎖術を行う.
● 有症状症例あるいは運動能低下例
● チアノーゼ症例(酸素飽和度90%以下)
● 奇異性血栓の既往
● 胸部X線にて進行する心拡大
● 進行性の右室拡大あるいは右室収縮能低下
(2) 先天性心疾患の経験のある外科医により,以下の症例に対して不整脈手術を同時施行する.
● カテーテル治療不能な上室性頻拍,心室頻拍を有する症例
● カテーテル治療不能な早期興奮症候群
(3)外科的再手術が必要な症例
● 有症状症例,運動能低下例あるいはNYHA機能分類Ⅲ,Ⅳの症例
● 術後進行性の右室拡大と右室収縮力低下に伴う高度三尖弁閉鎖不全,あるいは上室性頻拍,心室頻拍の出現,増悪
● 狭窄と閉鎖不全を伴う生体弁機能不全
● 平均圧較差12から15mmHg以上の生体弁狭窄
● 以上の狭窄基準以外でも有症状の症例,運動耐容能低下例
(4) 成人期の術式には,Single-stitch法572),Carpentier法573),弁置換術574),Cone reconstruction577)が選択される.
術後は運動耐容能が改善する.特に心房中隔欠損合併例で顕著である.年齢,性別,心拡大の程度が術後運動耐容能に影響する775).術後患者は三
尖弁機能,人工弁機能,心房性,心室性不整脈,心室機能について,生涯にわたる経過観察が必要である776).