入院死亡( %) 障害( %)
<24週20 12( 60) 1 ( 5)
24 ~ 27週158 19( 12) 30( 19)
28 ~ 31週311 18( 6) 37( 12)
32週以上3,478 87( 3) 30( 1)
4 妊娠継続可否の判断
①母体からみた判断
心不全や不整脈のため母体の病態が継続的に悪化し,母体の健康ないし生命が著しく脅かされることが予測される場合には,妊娠中断(中絶ないし早期娩出)を考慮する.また,母体の病態の継続的な悪化のため,胎児頭囲の発育が停止した場合には,妊娠の中断(早期娩出)とする.
②早期娩出時の児の予後
出産の時期を決定するにあたり,分娩時の妊娠週数別に,生存率や神経学的後遺症を含む生存児の障害発生率がどの程度なのかが,大きな要因となる.特に,1,000g未満(超低出生体重児)や妊娠28週未満の出生児(超早産児)の予後は悪い.米国からの体重別生存率の報告では,500~ 750gで55%であるが,生存児の65%に何らかの障害がみられたとされている481).
我が国の主要施設において,2001年に出生した児の生存率を妊娠22週より1週ごとに検討したところ,27.2%,58.2%,80.9%,92.1%,94%となった.隣接する週での生存率の比較では,22週と23週(p=0.0053),23週と24週(p=0.0017)で有意差がみられたが,24週以降では差はみられなかった.1984年から1997年の14年間における,東京女子医科大学母子医療センターでの生存児の神経学的後遺症(主として脳性まひ)の発生率を週数別で示す(表31).妊娠32週以降では生存率は97%,障害発生率は1%となり,妊娠32週が早期娩出の1 つの目安と考えられる.各施設において,このような治療成績を加味しながら,娩出時期が決定されることが望ましい.
表31 東京女子医科大学母子総合医療センターにおける
生存児の神経学的後遺症(1984-1997年)
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)