多因子遺伝の場合,1度近親内の再発期待値は一般人口頻度のルートに近似する.実際の再発率は経験値によっており,第1子が先天性心疾患の場
合,次子の経験的再発率はおよそ2~5%である507),509)(表46).このことは,先天性心疾患の児が1人生まれた家系の,次の児に何らかの先天性心
疾患が発症する頻度が,一般における発症頻度(約1%)の2~ 5倍に上昇することを意味する.同胞内に2人先天性心疾患児がいる場合7~ 10%に,3
人いる場合には50%以上に上がるとされる.疾患の一致率は60%程度で,必ずしも家族内で同じ疾患を再発するとは限らない.動脈管開存,肺動脈狭
窄,心房・心室中隔欠損では,比較的高い確率で同一の疾患を発症するのに対し,Fallot四徴の家族例では一致率が低い.