教育程度は,社会生活の質,就業に影響を及ぼす.教育レベルに影響を及ぼす因子には疾患の重症度,IQ,遺伝子異常,精神心理学的問題,家庭環
境等がある530),532),537)−539).チアノーゼ性心疾患術後のIQや学業成績,認知機能は,非チアノーゼ型より劣るとされる536),537),540).チアノーゼ性心疾
患患者の発達に影響を及ぼす因子には,慢性低酸素血症,脳血管系合併症,手術中の循環停止等がある537),541)−547).多くの先天性心疾患の知的能
力は正常範囲内であるが,チアノーゼ性心疾患は多少劣るとされる538).家庭的に過保護に育てられ,学校側も特別扱いするため競争心に乏しいことが多
く,学校を休むことも少なくないため就学率は低いとされていた532),547)−550).疾患の重症度が増すと高等学校での教育も受けていない場合が少なくない
548).チアノーゼが残存している場合は,大学への進学をあきらめている場合も多い3).重症心疾患では,学校を休むことが多く,進級が遅れるため,学校を
中退することもある532).しかし,専門学校,短大以上の就学率は,一般と比べ同等とする報告もある3),540)
1 就学,教育
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成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)