1.医療の側面
十分な知識に基づく適切な医療,適当な医療施設,長期
予後と生涯歴の解明
2.患者の側面
疾患重症度(未手術,手術不能,手術後(術後遺残症,
続発症,合併症,再手術の有無)),継続的要医療,頻回
の入院,継続的投薬.心臓病,病態の適切な理解.精神
神経心理学的問題
3.社会の側面
心臓病についての適切な理解,教育,就職の機会均等性,
社会保障福祉体系(健康保険,障害者認定,年金,医療
費公費負担),生命保険
9 社会的問題
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 成人先天性心疾患は,背景となる心臓病に関した問題だけでなく,教育,就職,結婚,妊娠,出産,育児,子供への遺伝,旅行,運動,レクリエーション,
社会保障(保険,年金,身体障害者認定,医療給付,更成医療給付)等社会的な問題も重要である3),34),528).成人先天性心疾患患者は,一般と比べ,
社会的自立の程度は劣ることが多いとされる21),529)−532).社会的自立を規定する因子は,医療側,患者側,社会側の3つの側面に分けられる528)(表
48).医療側には十分な知識に基づく適切な医療,医療施設の提供,長期予後,生涯歴の解明という因子がある.患者側には疾患重症度,精神心理学的
問題533)−536),術後遺残症,続発症,合併症,継続的医療の必要性,入院,投薬の継続,再手術,病気の適切な理解という因子がある.また,社会的側
面には社会の心臓病に関する適切な理解,教育,就職の機会均等性,社会保障福祉体系(健康保険,障害者認定,年金,医療費公費負担)という問題が
ある.社会的自立には,これら因子が複合し影響を及ぼす.
表48 成人先天性心疾患患者の自立を妨げる要因
1 就学,教育 2 保険 3 身体障害者認定,年金 4 結婚,妊娠12),556) 5 就業
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)