心臓移植は,Lower & Shumway法による心房レベルでの吻合を行う方法が心臓移植の標準手技となっている.ただし,この方法では術後に三尖弁閉鎖
不全を来たすことがあり,近年は両大静脈を直接吻合するBi-Caval法が多くなっている.なお,レシピエントの大静脈後壁を残して両大静脈を吻合する
Modified Bi-Caval法も考案されている597).
先天性心疾患,特に複雑先天性心疾患の場合は,内臓逆位,右胸心や大血管の位置異常に加え,以前に行われた各種姑息的手術や修復術の影響によ
る構造変化を有する場合が多く,手術の手技を複雑にする.これらを十分に把握し手術,体外循環,ドナー心虚血時間を短縮する手術計画が要求される.