拒絶反応は,三薬併用療法を遵守し術後管理を厳格に行えば,頻回に生じるものではない.40%の患者が移植後1か月以内に拒絶反応を1回以上,60%
が半年以内に経験する599)が,その後,発生頻度は減少し,心筋生検施行頻度も減少する.
術後1年以内の中等度ないし重症度の拒絶反応ならば,メチルプレドニゾロンを用いたステロイドパルス療法,さらには抗胸腺細胞グロブリン等を主体とする
治療が行われる.しかし数年を経過して出現したものに対しては,経口ステロイドやカルシニューリン阻害薬(シクロスポリンまたはタクロリムス)の一時的増
量で十分コントロールされることが多い.また,軽度ないし中等度ではあっても持続,反復する場合は,シクロスポリンからタクロリムスへの変更,ステロイド
の長期漸減および少量持続療法もとられる598)(図1).