シクロスポリン(Sandimmun静注,Neoral経口)
1.移植直後からSandimmunを2~3mg/時で持続静注開始
400ng/mL(全血;FPIA法)まで1~2mg/時ずつ増量
2.経口ないし経腸が入れば2~3日かけてNeoral(2回/日)へ変更
めやす:経口1日量=4~5×静注1日量
目標全血12時間トラフ値: 術後8週間 350~400ng/mL
術後8から12週間 300~350
術後3から6月 300
術後6月から1年 250~300
術後1年以降 185~225
ミコフェノール酸モフィチル(CellCept)
経口ないし経腸が入れば500~1,500mg/日 分2(通常1,000mg/日で開始)
W<4500なら50%減量,W<3,000なら中止
下痢等の消化器症状が強ければ,アサチオプリン(Imuran)に変更
メチルプレソニゾロン(MPS)静注,プレドニゾロン経口
1.術中再灌流時 MPS 500~1,000mg
2.術後3日間 MPS 0.5mg/kg×2回/日
3.以後経口が入れるまで数日間 MPS 0.5mg/kg×1回/日
4.プレドニゾロン 3か月まで0.5mg/kg/日
6か月まで15mg/日へ漸減
12か月まで隔日15mgへ漸減
以降隔日15mg
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4 移植後管理のポイント
 免疫抑制薬は心臓移植と同様3剤併用療法が基本である603)(表57).ただし,気管縫合不全を防ぐために術後早期にはステロイドを使用せず,抗胸腺細
胞グロブリンを使用する施設が多い.拒絶反応は心と肺で別々に起こるため,適宜,心臓は心筋生検を,肺は各種画像検査と気管支鏡下(またはCTカイド
下)肺生検を行い病理学的に判定する.気管支肺胞洗浄液の細胞分画も参考にする.肺の拒絶反応は心臓よりも発生しやすく,約33%の患者に発生すると
報告され,多くは術後4 週以内に起こる.

 慢性期には各臓器の移植と同様,移植後冠動脈硬化症や閉塞性細気管支炎(BO; Bronchiolitis Obliterans)が問題で,遠隔期の主な死因となり,有効
な治療法は再移植しかない.日常の呼吸機能測定(特に一秒率検査)や定期的な冠動脈内エコー検査が発見に有用である.

 ステロイド中心の時代に比較して,感染症が軽減し,創傷治癒が改善したが,心臓移植後よりも高頻度かつ重症の感染症,特に肺感染症に罹患するので
注意をする.移植肺は解剖学的に神経もリンパ系も遮断されているので,心臓のみの移植よりも肺感染症に罹患しやすい.遠隔期に閉塞性細気管支炎を来
たすと,肺感染症の危険性がさらに増加する.
 
表57 免疫抑制療法プロトコール(大阪大学,肺移植)
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)