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①欧米の成績

 心肺移植数は2008年では73例に過ぎない603).肺移植数は2008年では片肺移植816例,両側片肺・両肺移植1,953例になった.肺移植後の1,5,10年生
存率は,片肺移植77.8%,47.3%,21.4%,両側片肺・両肺移植79.9 %,56.0 %,37.4 %, あわせて79.0 %,51.9 %,29.1%であった.死因は,30日以
内では非特異的グラフト機能不全(技術的要因含む)が36.5%,感染症が20.1%であった.31日から1 年までは感染症が38.4%と圧倒的に多く,1年以降で
は閉塞性細気管支炎bronchiolitis obliterans(BO)が25.9%,感染症が20.0%であった.単純先天性心疾患に伴うEisenmenger症候群であっても,両側片
肺移植の成績は,他の疾患に比して不良である.

 心肺移植の1,5および10年生存率は64.3%,44.2%および30.5%で,心臓移植・肺移植に比して不良である.術後死亡の多くは術後早期(30日以内)に
発生し,その原因として臓器機能不全(Primary graft failure),感染症,気管の吻合不全等の技術的要因が挙げられる.種々の改良により徐々に改善して
きているが,依然として30日以内死亡は34.8%である.

②我が国の成績

 我が国では2010年9月末までに,78例の脳死肺移植96例の生体肺移植が行われているが,原疾患に先天性心疾患は,含まれていない.渡航心肺移植
を受けた日本人はいない.
5 臨床成績
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)