1. 肺高血圧
2. チアノーゼ
3. 心不全
4. 体肺短絡術後
5. 人工弁置換術後
6. 右室性単心室,右室性体心室
7. Fontan型血行動態
8. 弁性,弁下部,弁上部狭窄
9. 大動脈拡張,瘤形成
10. NYHA Class Ⅱ<
11. 頻拍型不整脈,高度徐脈
12. 心疾患術後の遺残症,続発症,合併症
13. 感染性心内膜炎
14. 冠動脈疾患(川崎病,大動脈縮窄)
ハイリスク
肺高血圧
チアノーゼ性心疾患
NYHA Class Ⅲ or Ⅳ
重症体心室機能低下(EF <35%)
重症左室大動脈閉塞性疾患
中等度リスク
人工弁置換・人工血管
心内短絡
中等度左側閉塞性疾患
中等度体心室機能低下
1.高血圧,糖尿病
2.腎機能低下
3.肝機能低下
4.出血傾向(チアノーゼ性心疾患)
5.人工弁置換術後(抗凝固療法)
6.呼吸器疾患(胸郭変形,側弯症による拘束型呼吸障害)
7.手術手技の危険度(大量出血,代謝異常)
8.麻酔科医の習熟度,チーム医療の有無
13 非心臓手術
成人先天性心疾患は,修復術後も,心不全,肺高血圧,不整脈等の非心臓手術時の危険因子を伴うことが多い(表58).特に,肺高血圧やチアノーゼを伴う場合には,リスクが高く,周術期出血も多く,術前から瀉血が必要なこともある.非心臓手術をより安全に施行するためには,手術侵襲の大きさと合わせ,これらの危険因子を術前から把握し可能な限り除去することが重要である4),615)−619).心疾患以外に介在する危険因子として,高血圧,糖尿病,腎機能低下,肝機能低下,出血傾向,胸郭変形による呼吸障害等があり,日常から服薬中の抗凝固薬も危険因子として注意しなければならない618),619),(表59).高度リスク群ほど,危険因子は多岐にわたっているため,麻酔科医の習熟度をはじめとし,循環器内科医,内科専門医,外科医のチーム医療が不可欠である4),25),618)−622)(表60).
非心臓手術の周術期には,心不全,種々の不整脈,肺高血圧のコントロールが主体であり,細菌性心内膜炎の予防も忘れてはならない623).細菌性心内膜炎の予防には,口腔内,耳鼻科手術では溶連菌,消化器,産婦人科,泌尿器科手術では,ブドウ球菌,腸内細菌をカバーする抗菌薬を用いる.抗凝固療法を行っている患者では,出血に十分な注意が必要である.症例や手術の内容によっては,ワルファリンの静注をペパリンで代用することが必要である.アスピリン使用例でも,同様である624).
表58 非心臓手術に関する心疾患危険因子
表59 非心臓手術に関する心疾患以外の危険因子
(文献618より改変)
表60 先天性心疾患における非心臓手術時のリスク分類
(文献4より改変)
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)