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3 成人先天性心疾患診療のトレーニングシステム
 ACCF(American College of Cardiology Foundation)Training Statement[COCATS( Core Cardiology Training Symposium)3; adult congenital
heart  disease]では,成人先天性心疾患診療のトレーニング目標として,以下3段階を提示している652)

Level 1(Basic training)

 循環器内科医,小児循環器科医として成人先天性心疾患の初期対応ができ,専門施設に紹介ができるレベル(循環器専門医試験レベル)
● 先天性心疾患の一般的知識:解剖,病理,生理,遺伝
● 自然歴,予後:遺伝カウンセリング,妊娠,非心臓手術時の管理等を含む一般的な先天性心疾患の臨床知識と初期対応
● 予後,続発症,遺残病変の知識:Fallot四徴,心房中隔欠損,心室中隔欠損,完全大血管転位,単心室(Fontan手術),肺動脈狭窄,大動脈狭窄等

Level 2(Special training)

 成人先天性心疾患の日常診療を行えるレベル(1年程度の専門施設での研修が必要)
● 解剖,生理,臨床症状,自然歴
● 診断方法:身体所見,心電図,不整脈/電気生理,胸部X線,断層心エコー法(経胸壁,経食道),心臓カテーテル検査/造影検査,核医学検査,MRI,CT
● 治療手技:薬物治療,外科治療,カテーテル治療
● 外科手術およびカテーテル治療後の続発症および遺残症の管理
● 適切な外来診療への移行
● 妊娠と出産:妊娠の可否,妊娠および分娩中の管理,避妊
● 非心臓手術時の管理
● 姑息的治療:肺血管閉塞性病変の管理等
● 運動および活動性の評価
● 就職および社会経済的な問題,生命保険,社会心理学的な問題
成人先天性心疾患外来への参加(1 回/週,10症例/回)
小児循環器病棟診療ヘの参加(1 ~ 2か月以上)
成人先天性心疾患の周術期管理,手術見学
小児循環器・小児心臓外科のトレーニングプログラムの存在
少なくとも1人以上の成人先天性心疾患専門医の存在

Level 3( Advanced training)

 成人先天性心疾患を専門として診てゆくレベル(成人先天性心疾患専門施設で2 年以上の研修)
● 臨床研究および基礎研究への参加
● 成人先天性心疾患診療への参加と診断能力(心臓カテーテル検査40例,経胸壁心エコー法300例,経食道心エコー法50例,CT,MR)
 
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)