15 診療体制:診療施設
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 先天性心疾患患者は,成人期に入り年齢を重ねるにつれ,遺残病変や続発症のために新たな様々な問題を伴うことがある.患者の多くは全国の小児施設で外科治療および経過観察を受けてきているが,(1)成人に達すると小児科外来には受診しにくい,(2)入院が必要になったときに年齢制限のため小児科病棟に入院できない,(3)循環器内科には先天性心疾患に専門知識のある医師が全国的に極めて少ない,等の理由から,患者数は増加の一途にあるにもかかわらず,安心して受診できる施設が整備されていない2),650),651)

 これらの成人先天性心疾患患者を診療するにあたっては,個々の特徴的な血行動態を十分に理解するとともに,新たに出現する合併症,年齢に伴う生活習慣病の影響(肥満,高血圧,糖尿病,動脈硬化,冠動脈疾患,消化器疾患),再手術の適応,妊娠出産,社会自立とそのサポート,精神心理学的な問題,遺伝の問題等を総合的に診てゆかねばならない.そのためには小児循環器科医や循環器内科医だけでなく,縦割りでない複数の専門家の連携に基づくハイブリッド型の診療体制を確立させることが不可欠である.それとともに,成人先天性心疾患診療を担当する専門医や循環器内科医を積極的に養成しなければならない4),6),25),650),652)−654)
1 成人先天性心疾患診療のチーム診療体制 2 成人先天性心疾患診療施設 3 成人先天性心疾患診療のトレーニングシステム
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)