先天性心疾患は,成人期に入り新たに様々な問題を生じるようになる4),6).特に複雑先天性心疾患の術後は,難治性不整脈,慢性心不全,感染性心
内膜炎,人工導管機能不全等の合併症を伴い,薬剤治療,カテーテル検査および治療,再手術を考慮する必要が生じることが少なくない.さらにFontan
術後は,血栓塞栓症,うっ血肝および肝硬変,糖代謝異常,腎障害,高尿酸血症,側副動静脈の発達,蛋白漏出性腸症の発症等,生命予後に関わる重
篤な合併症が発症することがある.成人先天性心疾患の多くは,小児期からの両親への依存度が高いことも一因となり,自己の病気の現状と将来に対
する認識が低いことが少なくない659),660).成人期以降もQOLを保ち,生命予後を改善させるためには,患者本人に正確な病名を告知するとともに,健康
管理のために必要な知識を十分に理解させることが必要である7)(表63).