1.良好な理解(80%以上の患者が認識)
 定期検診が必要なこと,食事管理の重要性,治療歴,歯科管理の必要性
2.比較的良好な理解(50~80%が認識)
 頻回の検診と検査,病状に適した職業選択,薬剤内服の必要性,性生活での注意
3.理解不良(50%以下のみ認識)
 自分の正確な病名,定期検診が必要な理由,激しい運動をした際の病気への影響
 心疾患の悪化に伴う自覚症状,感染性心内膜炎のリスク
 喫煙や飲酒がもたらす病気への影響,遺伝的な要因
 妊娠に伴う危険性と病状により避妊が必要なこと
2 病気に対する理解
 先天性心疾患は,成人期に入り新たに様々な問題を生じるようになる4),6).特に複雑先天性心疾患の術後は,難治性不整脈,慢性心不全,感染性心
内膜炎,人工導管機能不全等の合併症を伴い,薬剤治療,カテーテル検査および治療,再手術を考慮する必要が生じることが少なくない.さらにFontan
術後は,血栓塞栓症,うっ血肝および肝硬変,糖代謝異常,腎障害,高尿酸血症,側副動静脈の発達,蛋白漏出性腸症の発症等,生命予後に関わる重
篤な合併症が発症することがある.成人先天性心疾患の多くは,小児期からの両親への依存度が高いことも一因となり,自己の病気の現状と将来に対
する認識が低いことが少なくない659),660).成人期以降もQOLを保ち,生命予後を改善させるためには,患者本人に正確な病名を告知するとともに,健康
管理のために必要な知識を十分に理解させることが必要である7)(表63)
 
表63 成人先天性心疾患患者の自分の病気に関する理解度
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成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)