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①外科的治療適応

 肺体血流比≧1.5であり縮小傾向を示さず,しかも左室拡大がある場合には外科的治療を考慮する674),675).さらに,大動脈弁逸脱に大動脈弁逆流を
伴う場合や,圧較差50mmHg以上の右室流出路狭窄,再発性心内膜炎を認めた場合は外科治療が推奨される. 近年ではEisenmenger症候群とされ
てきた症例にも,肺血管拡張薬による負荷試験や肺生検による血管病変の詳細な評価により,肺血管病変が可逆性であると考えられ,手術適応につい
て検討される症例もある.しかし,肺血管のリモデリングの有無,肺血管拡張療法の長期効果,肺血管抵抗の改善後の薬剤治療の中止可能の判断等
明らかでない点が多い.

②術後遠隔期管理

 適切な時期に閉鎖術を行った心室中隔欠損の予後は比較的良好である.1,280人の長期観察結果で,25年生存率は,小欠損では,87.0% 676).中等
度から,大欠損では,それぞれ,86%と61%という報告がある. 閉鎖後肺高血圧のない場合,小欠損は,運動制限の必要はない.中等度以上の場
合,肺高血圧を伴う場合は,競争等の競技への参加は,控えることが多い.乳幼児期に手術が行われて,遺残短絡や伝導障害がなく小中高校時代の
生活や検診歴に問題がない例は治癒と認められる場合もある.
5 治療・管理
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)