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3 検査所見(表64)
①胸部X線

 心拡大と肺血管陰影の増強が見られ,重度の房室弁逆流では,左房拡張を認める.

②心電図

 左軸偏位,PQ間隔の延長,不完全右脚ブロックがみられる.心房中隔欠損と異なり左軸偏位を認めるが,この所見は,特徴的で診断的価値が高い.

③心エコー法

 心房間交通の部位,大きさ,房室弁形態,共通弁の詳細を把握できる.心尖部四腔断面より心房一次中隔欠損と心室中隔欠損を評価できる.短軸断
面で乳頭筋,房室弁形態異常,cleftの形態を評価する.左室,右室流出路狭窄,左室,右室低形成,乳頭筋形態,房室弁形態,房室弁逆流の程度の評
価も重要である.心エコー法で心内形態の評価は可能であることが多いが,経胸壁エコー法ではその描出が困難な場合が少なくない.経食道エコー法
は弁逆流の評価に有用である.

④ MRI

 心臓全体を客観的に観察するためには,MRI が有用である.しかし房室弁の詳細な形態評価は困難であることが多い.

⑤心臓カテーテル検査

 心内形態,肺血管抵抗の評価の目的で適応となる.左室造影正面像で,左室流入路が短く,流出路が狭小化することによる“goose neck deformity”
がみられる.
臨床症状
 思春期ころから運動耐容能低下,動悸,息切れ,易疲労性
身体所見
 Ⅱ音の固定性分裂,心尖部の汎収縮期雑音
 修復術後の遺残房室弁逆流では,汎収縮期雑音
胸部X線
 心拡大と肺血管陰影の増強
 高度の房室弁逆流では,左房拡張
心電図
 左軸偏位,PQ間隔延長,不完全右脚ブロックパターン
心エコー検査
  心房間交通の位置,大きさ,房室弁形態,特に共通弁の詳
細を把握
 四腔断面により心房一次中隔欠損と心室中隔欠損の評価
 短軸断面で乳頭筋や房室弁,cleftの形態評価
  左室および右室流出路狭窄,左室および右室の低形成,房
室弁逆流の程度
心臓カテーテル検査
 心内形態,血行動態,肺血管抵抗の評価
 左室造影の正面像で,“goose neck deformity”
術後遠隔期
  左側房室弁逆流,大動脈弁下狭窄,房室ブロック,肺高血
圧の進行の評価
表64 房室中隔欠損の診断
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)