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①胸部X 線

 動脈管の大きさにかかわらず,50歳以降では年齢と伴に心拡大が進行する691).主肺動脈はしばしば拡張しており,肺高血圧症例では,動脈管部に
石灰化像を認めることがある692)

②心電図

 中等度以上の左右短絡を認める症例では左室肥大所見,左房負荷所見を認め心房細動を伴うことがある691).肺高血圧を伴う大きな径の症例では,
右房負荷と両心室負荷所見を認めることが多い692)

③心エコー法

 中等度以上の左右短絡を認める症例では,左房左室拡大所見を認める.カラードップラでは,動脈管から主肺動脈への左右短絡血流が観察される
が,重度肺高血圧症例では,動脈管で両方向性の短絡血流を認める692)

④ CT

 動脈管の形態,動脈瘤,合併する大動脈弓の異常を評価できる.手術適応症例では,石灰化の程度と範囲を評価するために有用である692)

⑤心臓カテーテル検査

 肺高血圧症例では,閉鎖術前に,肺血管抵抗値および短絡率を評価し692),酸素,プロスタサイクリン,シルデナフィル,一酸化窒素等薬剤の反応性を
評価することが望ましい.また,バルーンカテーテルによる閉塞試験は,閉鎖可能かどうかの判断として有用である.

⑥心血管造影検査

 動脈管形態の詳細な評価は,カテーテル閉鎖術の際に,適切なデバイスの選択のために有用である.
3 検査所見
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)