成人期の自然歴は,動脈管のサイズ,短絡量と肺血管閉塞性病変の有無に大きく影響される.
①うっ血性心不全
軽度から中等度の短絡量を有する症例は,小児期に無症状であっても,50歳以降に,長期間の容量負荷によるうっ血性心不全を呈することがある.さら
に,心房細動を伴うと予後不良となる691).
②肺血管閉塞性病変
大きな径では,非可逆的な肺血管閉塞性病変を来たす症例が多い692).右心不全症状,不整脈,長期のチアノーゼによる全身合併症が経年的に出現
し,Eisenmenger症候群の病像を呈する.
③動脈内膜炎
動脈内膜炎は比較的まれな合併症で,30~ 40歳に最も多く,50歳以上ではまれとされる691).また,心雑音を認めず径の小さい動脈管(silent PDA)に
も動脈内膜炎が起こる693),694).
④動脈管瘤/ 肺動脈瘤
動脈管瘤は,感染性心内膜炎後,外科的閉鎖術後,Ehlers-Danlos症候群,Marfan症候群のような結合組織疾患に起こる695).
肺動脈瘤は,肺高血圧例に認められ,解離性瘤破裂が報告されている696),697).