①内科管理
(1) 左室容量負荷所見のない小さい動脈管開存症例においても,定期的に経過観察することが望ましい.
(2) 右左短絡優位の肺高血圧症例では,厳密な管理が必要であり,Eisenmenger症候群の管理に準じる.
(3) silent PDA症例でも,動脈内膜炎を合併することがあり,閉鎖術後6か月以上経過し残存短絡のない症例以外は,動脈内膜炎の予防が必要であ
る.
②経カテーテル的閉鎖術/ 外科手術
1)閉鎖術の適応
① 左室容量負荷所見を認めるもの451),691),692),698)−702)(Class Ⅰ)
② 左右短絡優位の肺高血圧症例451),691),692),698)−702)(Class Ⅰ)
③無症状の小さい動脈管(Class Ⅱ a)
一般的に適応と考えられるが,動脈内膜炎の頻度は低いため,高齢者での適応は定かではない.しかし,若年者においては経カテーテル的閉鎖術が
すすめられる
692).
④ 雑音を聴取しない動脈管(silent PDA)(Class Ⅱ b)
動脈内膜炎の既往がある場合は,適応となるが,それ以外の適応は定かではない.
⑤右左短絡優位の肺高血圧症例(ClassⅢ)
原則として適応外であるが,心臓カテーテル検査(薬物負荷試験やバルーン閉塞試験)や肺生検等により適応を決めることが望ましい692).
2)閉鎖法の選択
(1) 成人期は,動脈管周囲の石灰化と脆弱性に加え,動脈硬化,動脈瘤,冠動脈病変および腎疾患等の成人期の諸問題を伴うため,小児期に比べて
外科的手術 のリスクが高い.よって,動脈管単独の場合は,外科的閉鎖術よりも経カテーテル的閉鎖術が望ましい.
(2) ただし,以下の場合は外科手術が推奨される.
● 他の心血管構造異常に対する心臓手術時
● 経カテーテル的閉鎖術が困難な動脈管形態(動脈管瘤を含む)
● 動脈内膜炎
(3)経カテーテル的閉鎖術451),701)−703)
Amplatzer duct occluderの登場により, 大きな径のPDAに対する経カテーテル的閉鎖術は,より安全で確実になった.我が国でも,2008年から使
用可能となっ ており,2mm以上の例には,Amplatzer duct occluderによる閉鎖術が望ましい.また,2mm未満のPDAについては,従来通りコイル塞栓
術が望ましい.
(4)外科手術698)−700),704)
動脈管が短く,開口部の石灰化が著明な場合には,離断することは困難であり,人工心肺を用いて,大動脈側698),700)または肺動脈側704)からの
パッチ閉鎖 が行われる.