肺動脈弁狭窄は,最大圧較差が25~ 49mmHgの症例は20%,50mmHg以上ではほとんどがカテーテルインターベンションを必要とする8).肺動脈弁は
fish-mouth様変形を呈することが多いが弁輪部は比較的大きい.したがってバルーン拡大術の良い適応であり第一に選択される治療である.しかし成人
では肺動脈弁の石灰化や高度に肥厚している場合がありバルーン拡大術が困難なことがある.また,Noonan症候群に多くみられる異形成弁や乳幼児期
に姑息的弁輪拡大が行われている症例では固い狭窄組織が残存し弁逆流を認める例があり手術による修復が必要となる.弁切開術あるいは弁置換術を
行うが必要に応じて弁輪拡大を行う.
弁上狭窄および末梢狭窄では,有意な右室圧上昇や形態的に50%を超えるような末梢性狭窄,肺血流シンチグラフィーでの血流分布異常が認められる
場合,ステント留置を含むバルーン拡大術708),709)あるいは人工心肺使用下の拡大形成術を検討する.Noonan症候群に認められる弁状狭窄は,バルー
ン形成術は難しい.
カテーテル治療や手術介入の適応,タイミングについては明瞭なガイドラインはないがESCガイドライン6)に簡潔にまとめられている(表65).