適応Class Level
症状の有無にかかわらずどの狭窄部位でも修復が必要
  ・右室機能,弁機能が正常のときドプラ最大収縮期圧較差>64mmHg(peak velocity >4.0m/sec) Ⅰ C
肺動脈弁狭窄ではバルーン拡大術が選択される. Ⅰ C
  ・無症状の患者でバルーン拡大術が無効であり弁置換術が唯一の選択肢と考えられる.
  ・収縮期右室圧>80mmHg(TR velocity 4.3m/s)の場合,手術を行う. Ⅰ C
最大圧較差<64mmHgの場合,次のような条件が存在するときインターベンションが推奨される.
  ・肺動脈狭窄に関連した症状があるとき
  ・右室機能が低下している
  ・右室二腔症を合併(通常,進行性である)
  ・有意な不整脈がある
  ・心房中隔欠損または心室中隔欠損を介する右-左短絡がある
Ⅱa C
末梢性肺動脈狭窄は症状の有無にかかわらず修復を考慮する
  ・肺動脈径が50%以上の狭窄で,右室収縮期圧が>50mmHg
  ・かつ/あるいは肺血流分布異常がある
Ⅱa C
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 肺動脈弁狭窄は,最大圧較差が25~ 49mmHgの症例は20%,50mmHg以上ではほとんどがカテーテルインターベンションを必要とする8).肺動脈弁は
fish-mouth様変形を呈することが多いが弁輪部は比較的大きい.したがってバルーン拡大術の良い適応であり第一に選択される治療である.しかし成人
では肺動脈弁の石灰化や高度に肥厚している場合がありバルーン拡大術が困難なことがある.また,Noonan症候群に多くみられる異形成弁や乳幼児期
に姑息的弁輪拡大が行われている症例では固い狭窄組織が残存し弁逆流を認める例があり手術による修復が必要となる.弁切開術あるいは弁置換術を
行うが必要に応じて弁輪拡大を行う.

 弁上狭窄および末梢狭窄では,有意な右室圧上昇や形態的に50%を超えるような末梢性狭窄,肺血流シンチグラフィーでの血流分布異常が認められる
場合,ステント留置を含むバルーン拡大術708),709)あるいは人工心肺使用下の拡大形成術を検討する.Noonan症候群に認められる弁状狭窄は,バルー
ン形成術は難しい.

 カテーテル治療や手術介入の適応,タイミングについては明瞭なガイドラインはないがESCガイドライン6)に簡潔にまとめられている(表65)
2 治療・管理
表65 右室流出路狭窄病変に対するインターベンションの適応6)
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)