大動脈縮窄修復術後の再狭窄率は10 ~ 15%とされる736),737).非手術例と同様,再狭窄例にも狭窄程度を正確に評価し,適切な管理を行う必要がある.
右上肢と下肢で安静時血圧を測定し,上下肢血圧差の有無を確認する.軽度の縮窄遺残は,安静時の上下肢血圧差がほとんどなく,トレッドミルやマスター等運動負荷試験後に血圧差が明らかになることがある.血圧差は側副血行の発達の程度にも影響を受け,血圧差は必ずしも縮窄の程度を反映しない739)−745).
年齢に関係なく長期的に続く高血圧症を伴う大動脈縮窄(非手術例,術後症例にかかわらず)は,左室肥大や早発冠状動脈疾患の予防を行う746),747).ACE阻害薬やβ遮断薬が有効であるが,有意な遺残狭窄病変がでは狭窄部末梢の血圧低下を来たすためACE阻害薬は使用しない.大動脈縮窄の最も一般的な死亡原因は高血圧に起因する動脈硬化性病変であるため,降圧療法とともに他のリスクファクターのコントロールも行う.食事療法,規則正しい生活習慣とともに,運動療法を行うことが望ましい710).安静時に上下肢圧差がない,あるいは正常血圧でも運動時に高血圧を呈する場合は,過度の運動は控えるよう指導する744),748),749).また,経年的に大動脈弁下狭窄を合併することがあり注意を要する.
5 治療・管理
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)