1.右室機能不全,心不全:経年的に悪化し,危険因子は三尖弁逆流,合併心異常,心内修復術,房室ブロック,頻拍型不整脈
2.三尖弁逆流:加齢と伴に悪化.右室機能不全の結果/原因,心室中隔欠損閉鎖術後急速に悪化
3.房室ブロック:加齢,心室中隔欠損閉鎖,三尖弁置換術時に悪化し,ペースメーカ装着頻度上昇,非手術でも2%/年で増加
4.不整脈:加齢と伴に増加,心室性より上室性が多く,三尖弁逆流や心機能不全と関連
5.突然死:比較的まれ,心機能不全,血行動態異常,不整脈と関連
6.導管狭窄:術後経過と伴に出現,術後10年で50%は再手術
7.僧帽弁逆流,大動脈弁逆流:高度の大動脈弁逆流はまれ
8.感染性心内膜炎:導管修復後,心室中隔欠損遺残,三尖弁逆流,Blalock-Taussig吻合術後に注意
①経過観察(表67)
右室機能低下,三尖弁逆流,房室ブロックの増悪に注意する.心合併症のない場合は,6か月に1回,手術後で心合併症を伴う場合は,投薬の内容に応じて,頻回の経過観察が推奨される.
②内科管理
三尖弁逆流,右心不全の治療,進行予防のために,ACE阻害薬,ベータ遮断薬が用いられるが,大規模研究はない357),354),792).体心室が肉柱の多い右室のため,心機能低下では,抗凝固抗血小板療法を用いることもある.
③カテーテルアブレーション
上室性頻拍(WPW症候群)の際に用いられることが多い.
④カテーテルインターベンション
肺動脈狭窄に対して,経皮的バルーン(ステント)形成術が行われることがある.
5 治療・管理
表67 修正大血管転位の主要合併症と経過観察の注意点
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)