肺動脈狭窄(漏斗部狭窄),心室中隔欠損,50%未満の大動脈騎乗,右室肥大を四徴とする.重症度,形態異常は幅広く,いわゆる極型とよばれる肺動脈閉鎖まで含まれる.肺動脈弁下あるいは漏斗部狭窄に,通常併せて肺動脈弁から肺動脈まで狭窄がみられる.肺動脈弁はしばしば狭小で,肺動脈の低形成や,時に左側の肺動脈閉鎖も見られる.心室中隔欠損は,多くの症例では傍膜様部の欠損であり827),流出路部中隔は前方に偏位して欠損孔は大動脈下に位置する828).また,時に漏斗部の心室中隔欠損(conal septal defect)の場合もある.心房中隔欠損や心内膜床欠損(房室中隔欠損)を伴うことがあり,ダウン症でよく見られる.また,弁輪拡大や再手術の際に,注意が必要な冠動脈起始異常もまれに合併(2~ 9%)する829).特に,左前下行枝が右冠動脈より,逆に右冠動脈が左前下行枝より起始して,右室流出路前面を走行していることがある.
1 解剖学的特徴と病態生理
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成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)