心内修復術は,右室切開か経右房アプローチによる心室中隔欠損のパッチ閉鎖と右室漏斗部から末梢肺動脈にかけての右室流出路の狭窄解除である.
右室筋束や狭窄した漏斗部の切除の他,狭い肺動脈弁輪や主肺動脈から肺門部までの狭窄部位のパッチ拡大が必要な場合がある.近年,経肺動脈・経
三尖弁アプローチへの移行,新生児・乳児早期手術等手術時年齢の低下が進んでいる831),832).一方で,肺動脈弁輪温存率の低下等,遠隔期の問題も多
い.著しい弁輪狭小例(弁輪径がZ value − 3~−4以下)は,一弁付transannular patchを用いる施設が多い833).遠隔期に,肺動脈弁逆流や狭窄が顕在化
する834).異種心膜弁は石灰化し,狭窄を起こす.弁の素材のePTFE835),836)は,短期成績も良好である837),838).自己肺動脈弁を温存するため,右室流出
路パッチ(肺動脈パッチと分かれたseparate patch)を用いるか839),840),弁輪切開を数mmの範囲に限定して漏斗部機能を温存する方法841)も報告されてい
る.流出路に冠動脈が走行する例では,ほとんどの場合,心外導管を必要としない833),842)が,再手術では選択枝の1 つとなる.
術後の血行動態異常は,手術時年齢,心筋保護法,術式の影響をうけ,運動能低下や上室性,心室性不整脈の合併に繋がる.術後の最も一般的な問題
は肺動脈弁閉鎖不全であり,不整脈や心拡大のある症例は,血行動態の再評価が重要である.このため,十分な専門知識を持つ循環器内科医による定期
的な外来診療が必要である628),677),843)−845)(表70).