1. 有意な右室機能不全のない中等度から重度の三尖弁閉鎖
不全(Level B)4),958)
2.肺体血流比が1.5以上のバッフル漏れ
3. 安静時または運動時に低酸素状態に陥り症状または進行
性心室拡大を呈しカテーテル治療で軽快しない時(Level B)
4. カテーテル治療で軽快しない上大静脈または下大静脈閉塞
5.肺静脈還流ルート閉塞(Level B)
6.症状のある重度な肺動脈弁下狭窄(Level B)4)
7. その障害の原因が弁自体の場合であって,右室拡大によ
る二次性でない重症三尖弁閉鎖不全
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 大動脈スイッチ術へのconversionの成績は悪く,推奨できないが,左室トレーニングのための肺動脈絞扼術により,心室中隔が右室よりに変異するた
め三尖弁逆流が改善する場合がある4),959),960)

 重症三尖弁閉鎖不全に対する術式は,弁置換術,肺動脈絞扼術,心臓移植が考えられる.特に右室駆出率が44%以下の場合は術後の予後は不良
である4)

 心不全症状患者で心臓再同期療法(CRT)が有効との報告があるが961).ランダム化試験はなく,評価は定まっていない.

 International Heart Transplant Registryからの報告では,先天性心疾患患者の心臓移植後1年以内の死亡率は,非虚血性心筋症に比して2.27倍高
いため,この点も留意する594)
6 手術(表76)
表76 完全大血管転位 心房位血流転換術後外科手術の適応
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)