左室性単心室では,5年生存率は,肺動脈効扼術施行後68%,体肺短絡術後72%,右室性単心室体肺短絡術後54%である1099).未手術の場合は,さらに予後は不良であるため,従来,未手術より姑息術,さらにFontan術が推奨されていた.しかし,左室性単心室では,肺血流量が適度であると長期生存できる例が少なくない1098).また,肺動脈低形成,心機能低下等の理由でFontan術に到達しない場合でも,Fontan術後の生存率と大差がなく,むしろ不整脈発生頻度が低く,蛋白漏出性腸症等の合併症も認められない1097).このため,特に成人では,Fontan手術の適応決定は慎重に行うことが望ましい1098).
体肺短絡術後と比べ,Glenn術後は,心機能,不整脈発生頻度,突然死の点で,予後は良好である1097).主要死亡原因は, 突然死, 心不全, 不整脈である1100).Glenn術後長期経過すると,肺動静脈瘻が合併することが多く1101),致命的な合併症となることもある.
4 予後
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)