10 成人期の手術
 
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 成人先天性心疾患は,適切な診断を受けていないケースや診断を受けても自覚症状が強くないために成人期まで放置していた患者にしばしば遭遇する.
また姑息的手術の段階に留まり,それ以降の治療が検討されていない症例も認められる.これらの症例に対しては現在の診断技術や手術成績,予後等か
ら手術適応を再検討する必要がある.一方手術成績の向上と内科的治療の発展により成人期に達する心内修復後症例は年々増加しているが,長期フォ
ロー中に遺残症による障害や続発症が出現し再手術が必要となるケースも少なくない.再手術を行う際には,修復方法や原疾患そのものの慢性的変化をあ
らかじめ診断しておくことは重要であり567),解剖学的特徴を把握する小児心臓外科医の経験に加え,弁膜病変や不整脈を治療する成人心臓外科医の技術
が必要と考えられる6),567)
1 成人期初回手術(表49) 2 再手術 3 術後予後
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)