欧米では1980年代より各地域の主要病院に成人先天性心疾患診療部門が開設され,循環器内科医が中心となって診療が行われている.医療事情の異
なる日本では,欧米のシステムを取り入れつつも,各地域に適した診療体制を構築する必要がある.現時点では全国的にみて成人先天性心疾患に特化し
た診療部はごく少数で,年間入院が50人を超える施設は全国の循環器専門医研修施設の2%にとどまっている651).また循環器内科医の診療への参加が
少ないために,患者のほとんどは小児循環器科医が診療にあたっている.成人先天性心疾患を担当できる心臓血管外科医も少ない.これらの理由から,日
本における成人先天性心疾患の診療体制の確立に向けて,以下のような目標が示されている(表62).