一般的には心室中隔欠損の70~ 75%が自然閉鎖するとされているが,多くは乳児期のうちに閉鎖し,2 ~ 3歳以降閉鎖率は極端に減少する.思春期
以降の自然閉鎖率は6~ 15%とされ94),661),662),670),671),Neumayerらは自然閉鎖率10%(0.8% /年)で,最年長45歳であったと報告した94).
肺体血流比<2.0および正常肺動脈圧の未手術心室中隔欠損(小欠損)は,成人に達した場合の長期予後は一般に良好とされてきた.Gabrielらは,
222名(平均30歳)の前方視的観察平均7.4年間で,95%が無症状で経過し,入院治療や手術を必要とする合併症は約1%と低率であった95).一方で,
Brompton病院GUCH外来を受診した188名(17~ 72歳,平均29.2歳)の検討では,感染性心内膜炎21例(11%),左室拡大,心機能低下,心房細動,
心筋症様病態等,25%に合併症を認めた.心内膜炎や大動脈弁閉鎖不全を中心に20例に心臓手術がなされた.長期にわたる左心室容量負荷が心筋変
性を生じ得ると考えられ,運動能低下や収縮・拡張機能低下,不整脈基質化等が認められている671)−673).小欠損でも,少数ながら,感染性心内膜炎,心
不全,不整脈等の重篤な合併症を引き起こす可能性がある117).