治療適応に関しては未だに議論の余地があるが,臨床的に有意な心房中隔欠損,高齢者(60歳以上)では,肺体血流比>2.0の場合は適応を考える.
肺動脈圧もしくは肺血管抵抗値が,体血圧と体血管抵抗値のそれぞれ2/3以上では,肺体血流比≧1.5でなければ治療適応とはみなさない.肺体血流比
<1.5の場合や肺血管抵抗値が7wood単位以上の場合は酸素負荷や薬物負荷テストを行い肺血管の反応性の評価が必要である677)−679).肺血管の可
逆性評価のための肺生検は,手技自体のリスクも高く,組織学的評価は熟練した病理医師が行うべきであり,対象は限られる(Class Ⅱb,Level C).
治療適応を満たす場合は経皮的デバイス閉鎖術680),681)か外科的閉鎖術172),682)の治療となる.外科的閉鎖は,治療の基本であり,術後長期予後も
明らかになっている(Class Ⅰ,Level A).カテーテルによるデバイス閉鎖術は,限られた承認施設で行われなければならず,径38mm未満の2次孔欠損
でかつ前縁を除く欠損孔周囲縁が5mm以上ある場合が適応となる(Class Ⅰ,Level B).術後,抗血小板薬(アスピリン100mg/日)を少なくとも6 か月投
与する.それ以外の条件では患者の臨床的背景を考慮し,外科的治療との比較検討を行う必要がある.また,手術後あるいはデバイス閉鎖術後6か月以
内は,感染性心内膜炎の予防が必要である.