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 妊娠,出産は,母体のみならず,胎児リスクが非常に高く(特に酸素飽和度< 85%,肺高血圧を認める場合),流早産,低出生体重児が多い.母体は,肺血栓,心不全を伴いやすい.

 非心臓手術が必要になる場合も少なくないが,肺血管抵抗低下時のチアノーゼ増強,脱水時の状態悪化等には十分な注意が必要である(非心臓手術の項参照).

 チアノーゼの増強やMAPCAの発達による心不全の増悪,肺内出血例に,カテーテル治療を行う場合がある.狭窄血管のバルーン拡張,ステント留置,拡大したMAPCAに対するコイル塞栓術,肺出血の原因となっている側副血行に対するコイル塞栓術等である.

 22番染色体微細欠失を有する症例では,欠失のない症例に比して主要大動脈肺動脈側副動脈(MAPCA; major aotro-pulmonary collateral arteries)の合併,中心肺動脈の欠如,肺動脈の低形成と異常分岐が多く,機能的根治手術がより困難な傾向がある1094),1095).また,成人期の精神障害等の合併症を考慮した管理が必要である.
5 治療・管理
 
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)