①症状
単心室の未修復例では,房室弁閉鎖不全の合併,チアノーゼの増悪,心不全の進行のため,約半数は小児期に死亡する102).成人後も,経年的に,心不全,頻拍型不整脈( 上室性頻拍, 心室頻拍) を認める. しかし,Glenn術後では,体肺短絡術後に比べ,心室容量負荷が少ないため,房室弁逆流が軽減され,心不全や心室性不整脈は少ない1097).未修復の単心室では,NYHA機能分類 Ⅱ~Ⅲ度の場合が多いが,左室性単心室では,さらにQOLが良好に保たれることも少なくない1098).
②身体所見
大動脈弁閉鎖不全の合併では,脈圧が広い.前方に偏位した大動脈拍動を触知する.聴診上,Ⅰ音は単一,Ⅱ音は単一で亢進する.大動脈駆出音を聴取する.肺動脈狭窄による駆出性収縮期雑音,房室弁閉鎖不全による収縮期雑音を聴取する.肺体動脈吻合術後は連続性雑音を聴取する.
2 臨床所見
成人先天性心疾患診療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Management of Congenital Heart Diseases in Adults(JCS 2011)