心臓血管外科治療が行われる以前は,先天性心疾患を持つ小児が成人になれる割合は生産児の50%以下であった.しかし,半世紀ほど前からの外科治
療の発達と,内科管理の向上により,小児先天性心疾患の多くが成人を迎えるようになった18)−22).今では,乳児期を過ぎた先天性心疾患児の90%以上は
成人となっている18).小児期には手術方法が未発達あるいは早期診断がなされなかったため,未修復手術(姑息術のみ)で成人となっているチアノーゼ型先
天性心疾患が,多数存在する23).また,単心室形態を持ちFontan術後等を含む術後の成人の先天性心疾患患者数も増加している.これらの複雑心疾患
は,専門の診療医療施設での定期的な経過観察と加療を必要とする24).したがって,成人となった小児心疾患患者,すなわち成人先天性心疾患患者数
は,飛躍的に増加していると同時に,診療内容も高度なものとなってきている24).また,成人先天性心疾患はチーム医療を必要とするため,この分野に携わ
る人材の育成も行われはじめている25).